もずめか日記・改

女+女で波乱万丈に生きる、スペクタクルノンフィクションストーリー。
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    穴があったら埋まりたい。(入院話・第2話)

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       人は、極限状態になると本性が見えると言われております。

       全身麻酔から覚めたての状態も、それすなわち極限状態のひとつとも言えるでしょう。
       覚醒しているのか、していないのか。それがはっきりと体に伝わらない、あの独特の状況。


       私が始めて全身麻酔を経験したのは、13歳の夏、心臓の手術を受けたときでした。
       約7時間の手術時間、その間だけで体重が4〜5キロ減(ある意味究極メガンテダイエット)。
       
       あれもきっと麻酔の覚めかけだったのでしょう。
       夢とわかりきっている、でもどこか夢じゃないような変な感覚。
       
       薄暗い中に私はいて、走れども走れども出口がわからない。

       お母さん、どこ?

       半べそで走っても明かりすら見つからないそのとき、耳に流れ込んできたのは低い地鳴りのような音。

       そしてうっすら光が差した瞬間、私の視界に入ってきたのは真っ白な服を着た人。
       いわゆるICUの看護師さんなんですが、


       「もずくさん? 私の声が聞こえますか?」


       力なくうなずくと、


       「おかえりなさい、よくがんばってくれたね、おかえり」


       天使かと思った。
       ちょっとあの女優に似た感じの何ていうんだろういやそれは置いといて。

       低い地鳴りの音の正体は、体中に差し込まれた管を動かすための装置の機械音でした。
       いやあ、あの独特な音は今でも忘れないな。あとあの天使の笑顔な。


       今回もそんな感じで目が覚めるのかしら、って少し懐かしくも感じてました。


       手術時間は約2時間ちょい、無事に手術が終わって半覚醒状態に入ったとき、私の脳裏には何やらドラマが繰り広げられていました。

       その私の脳裏には、あの人物が黒いきらびやかな衣装に身を包み、何やら楽屋っぽい空間で目を伏せています。
       そして私は、激しく怒っている。
       時に机を叩き、怒りというより憤りに近い感情です。

       それをなだめるように、周りの人が何か私にアドバイスをしようとしますが私はその手を振り払い、

       

       なんで、小林幸子が紅白に出れないんや。

       幸子やで!?

       大晦日は幸子の衣装今回何やろって、もうすでに『遠山の金さんの刺青』『水戸黄門の印籠』(共に20:42当たりに出現)なのはわかってるけど、それでもつい気になってしまうあの時間がないって、どういうことや!

       何でもリニューアル、革命、新発想って、古き良きものを残すって事がどれだけ財産になるかってことがわからんのか!



       皆さんも経験があると思うんですが、夢を見ているとき、その夢を客観的に見てる自分が存在するときってないですか。

       今回まさにそれで、激しく泣きながら怒る私を、もう一人の私が、



       『なぜ幸子』



       と戸惑いながら、つっこみながら、一方的に進むドラマを見ているのです。

       付け加えるなら、もう一人の私は『たった今きっと手術が終わったところ』ってことにも気づいてるんです。
       そんなときになんで小林幸子なんだ、なぜだ、なぜだ……。
       
       すると、うっすらと音が耳に入ってきます。

       名前を誰かが呼んでいるのはわかる。

       でも、それが夢の中なのか、現実なのかがすぐに体が理解できない。

       呼んでる、返事しなきゃ、私大丈夫だって伝えなきゃ。


       しかし私が口走ったのは、


      『幸子……小林幸子が夢に……! 何でか知らんけど幸子が……!』


       あ、なんか私の周りで笑いが起こってる。

       何でだろう。

       あ、めかぶの声が聞こえる。

       

       めかぶ:「大丈夫だよもずく、もう大丈夫だよ」



       答えなきゃ、私大丈夫だよって答えなきゃ。




       もずく:「幸子が……!」



       めかぶ:「うん、幸子ね。うん、何かおめでたくていいよね



       ああ、何かまた回りが沸いてる。

       違う、そう言うことを伝えたいんじゃなくって……。

       やがてまた私の意識は途絶えてしまいました。



       それから3〜4時間ほど眠り続け、目が覚めると隣にめかぶが座っていました。

       あーめかぶだ。
       私一応帰ってこれたんだ、よかった……。


       静かに布団をかけなおそうとするめかぶの横顔を見て、私の意識は完全に回復しました。



       もずく:「めかぶ」

       めかぶ:「なに? どっか痛い?」

       もずく:「私、すごい夢見てたっぽい」

       めかぶ:「そうみたいね」

       もずく:「夢見てたんだよね?」

       めかぶ:「……」

       もずく:「何か……小林幸子が出てきて、紅白出れなくて、それでも幸子は気丈にマイクを楽屋の真ん中に置いて出て行こうとするんだけど」

       めかぶ:「……」

       もずく:「私はどうも納得できないみたいでめっちゃ怒ってた。会ったこともない幸子になんであんなに感情移入してたんやろ」

       めかぶ:「……」

       もずく:「そこであの、ちょっと聞きたいんだけど」

       めかぶ:「……うん」

       もずく:「うっすら記憶の片隅に、幸子が幸子がって口走った感じが残ってるんだけどさ」

       めかぶ:「……うん」

       もずく:「夢の中で口走ってたんだよね? 実際には口走ってないよね?」


       めかぶ:「いや……何度も幸子コールして、最後消え入りそうな声でメンチカツ食べたい、って言ってた」



       めかぶが帰ってから、看護師さんにも聞いてみた。



       もずく:「私、術後なんか言ってました?」

       看護師さん:「小林幸子の夢見たって連呼してましたよ! 麻酔さめてすぐあんなにカツゼツよく小林幸子のことをストレッチャーの上で連呼したの、もずくさんが初めてでみんな爆笑してました〜






       そら初めてだろうよ。






      〜つづく

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